グーニーズ 考察
ピタゴラスイッチ的な仕掛け
お宝にたどり着くまでにたくさんのトラップが発動しますが、実はこういう仕掛け、片目のウィリーだけでなく、主人公マイキーも作ってたんです。
最初、チャンクがマイキーに家に入れてくれと言うシーン。マイキーはひもを引っ張り、バケツを持ち上げます。すると鉄球が転がり、ピタゴラスイッチ的な仕掛けが作動して、柵が開きます。
重りを用いての仕掛け。これがマイキーと片目のウィリーの共通点一つ目です。
進路を導くのは水
宝探しが始まると、水が道筋を示します。
・チャンクが水の入った大瓶を落とす→水が穴に流れ込んでいる音が聞こえる→地下へ
・下水管
・願いごとの井戸
・ウォータースライダー
なぜ水なのか?
それは今回探している宝が、山賊の宝ではなく、海賊の宝だからです。
チャンクとスロース
チャンクはもう一人の主人公と言っても過言ではありません。スロースとの共通点を見ていきましょう。
共通点
・体が大きい
・食べ物のために馬鹿力を発揮する
対比
チャンクは仲間に恵まれており、スロースは仲間に恵まれませんでした。
最後、フラッテリー一家が逮捕される場面で、チャンクは彼に一緒に暮らそうと言います。スロースは家族を失ったと同時に新しい家族を得ることができたんです。
マイキーと片目のウィリー
片目のウィリーの白骨の前にたどり着いたマイキーはこう言います。
僕らは似ている。
この二人、境遇が似ているんです。
マイキー:借金を返せなければ、家から立ち退くことになる。
片目のウィリー:宮廷道化師だったが、度を越した冗談が原因で宮廷を追い出される。
対比
マイキー:お宝よりも命を優先し、生き延びる。
片目のウィリー:お宝を巡って部下と争い、息絶える。
創作とは地下へ潜ること
私が一番好きなシーンは、物語の中盤、願い事の井戸から脱出しようとするアンディにマイキーが語りかけるシーンです。
そうだね……でも……もう一度空を見れたとしても別の町の空だ。次のテストは――別の学校のテストだ。パパやママは僕らの幸せを願う。でも今は自分たちのことで手いっぱいだ。懸命に戦ってる。僕らもここで頑張るんだ。バケツに乗ったらそれきりだ。
このセリフは、そのまま素直に受け取れば、書いてある通りの意味です。
ですが、私は勝手にこれをクリエイターの創作論だと解釈しました。
つまり、地下へ潜って行く行為は創作活動のメタファーではないかと思ったのです。何かを作るために時間と労力を注いでいると、他の楽しいことをする時間はあまり取れません。
私たちは、先人が通った道をたどっていくことで、財宝=作品に出会えます。その作品から影響を受けて、何かを作る。すると、先人の作品の面影を持った作品が世に出回ることなります。
映画のラストでは、洞窟が崩壊し、海賊船が大海へと出航します。傑作は時を経て何度も世に出回るということを示唆しているのだと解釈しました。
なぜマイキーは吸入器を放り捨てたのか?
マイキーは喘息(ぜんそく)を患っていて、薬を吸うための吸入器を持っていました。が、最後、彼は吸入器を「こんな物……」と捨ててしまいます。
なぜ捨てたか?
大人になったからです。
もう少し説明します。
小児喘息は体が成長し丈夫になるにつれて治る病気です。つまり大人になったら治るんです。
洞窟を抜け出し、浜辺で両親と再会するシーン。
マイキーはアンディにキスされます。そのあとすぐ、アンディはマイキーの兄にキスします。ここのキスに差があるんです。
マイキー:頬にキスしてもらう
マイキーの兄:唇と唇で
このとき、マイキーは失恋するわけです。同時に、マイキーは大人になったんです。だからもう吸入器は必要ない。なぜなら大人は小児喘息にかからないからです。
ビー玉と宝石
最後、ビー玉袋の中に入った宝石のおかげで、借金を返すことができ、マイキー一家は家を出て行かなくてよくなります。
ビー玉袋の中にはビー玉が入っていたんですが、船から持ち出す時にビー玉を出して宝石を入れたんです。
片目のウィリーの宝石がマイキーを救いました。生前のウィリーの目はこの宝石のように輝いていたのかもしれません。そして、今回の冒険を通して、子供たちの目もより強い輝きを放つようになったのだと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。