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初めて買ったライトノベルが『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』だった。~最終巻を読み終えての感想~

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 晴れて大学生になった春、私は、まだ知らない町の知らない本屋へと足を踏み入れた。これからどんな四年間が待ち受けているのか、期待以上に不安が大きかった私は、見るともなしに本棚を見て回った。高校のときから本は嫌いではなかった。けれど、ライトノベルというものを読んだことはなかった。しかしその日私は、平積みに並べられたその本の前で足を止めざるを得なかった。

 

『やはり俺の青春ラブコメは間違っている。』6巻。その表紙に描かれていた女の子は、私が今まで出会ったどのキャラクターよりも綺麗だった。

 

 明るい青春時代を送ってこなかった私が俺ガイルにはまったことは言うまでもない。八幡は私のヒーローだ。材木座のダメさ加減には救われたし、戸塚はかわいいし、川崎さんはかっこいい。小町は世界最高の妹だし、めぐり先輩はすごくやさしいし、玉縄には笑わせてもらったし、平塚先生のような先生に出会いたかった。

 

 特に文化祭編が好きだ。オーバーワークに押しつぶされる雪乃を八幡と結衣が支える。最後は八幡お得意の自己犠牲を発揮して、文化祭は大成功のうちに幕を閉じる。後片付けをしているときに、平塚先生が八幡に言う言葉。

 

「比企谷。誰かを助けることは、君自身が傷ついていい理由にはならないよ」

 

 これ以上の言葉がこの世にあるだろうか、いやない。

 

 7巻以降の俺ガイルについて、正直な気持ちを述べるなら、あまりいい感想は出て来ない。人間関係が複雑化し、登場人物たちのセリフも抽象的過ぎて何を言っているのかわからなくなってくる。でも、もうこの段階になると、私の中で俺ガイルは面白い、つまらないで語るものではなくなっていた。終わりを見届けなくてはならない。それだけだった。

 

 元号も平成から令和に変わった。そして、令和元年11月19日。最終14巻が発売された。二時間程度で一気に読み終えて、私の中の何かに一区切りがついた。

 

 ありがとう、俺ガイル。